コラム

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント

訪問看護ステーションの開業資金はどう準備する?融資先の選び方と失敗しないポイント

訪問看護ステーションの開業を目指すとき、事業計画や人員体制と並んで避けて通れないのが「資金の準備」です。

開業には、初期費用と運転資金を合わせて、1,200〜1,500万円程度が必要な目安とされています。自己資金で足りない分は融資で補うことになるものの、看護師にとって融資は馴染みの薄い世界。
「どこに相談すればいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか?

このコラムでは、融資先の選び方・よくある失敗・動き始めるタイミングについてわかりやすく解説します。

開業時の資金繰りは情報収集が重要

知識がないまま開業準備を進めてしまうと、審査に通らなかったり、開業後に運転資金が底をついたりするケースが起こりえます。
融資は「申し込めば通る」ものではなく、事業計画の妥当性や自己資金の割合、申請するタイミングなど、複数の要素が審査に影響します。

「とりあえず動き始めてから考えよう」では、気づいたときには選択肢が狭まっていた——ということにもなりかねません。
まずは、融資先の種類や特徴について詳しくみていきましょう。

融資先の特徴と選び方

融資先の特徴と選び方

ひとくちに融資といっても、相談先によって金利や審査のハードルが異なります。 主な融資先とその特徴を比較してみましょう。

主な融資先の比較

融資先金利審査のハードル特徴
日本政策金融公庫2~3%台低め・創業実績なしでも可
・開業時の第一候補
信用金庫・地方銀行2~4%台中程度・地元に根ざした金融機関
メガバンク低め高い・創業時は3~5年以上の実績が必要

上記に記載した融資の金利はあくまで目安であり、将来的に変更される可能性があります。実際に融資を検討する際は、必ず最新の条件を各金融機関へご確認ください。

開業時の融資は、日本政策金融公庫を第一候補に、信用金庫・地方銀行を併用するのが現実的です。メガバンクは、開業後に実績を積み、大口の資金需要が発生した際に検討する選択肢と考えておきましょう。

また、融資以外の手段として、クラウドファンディングという選択肢もあります。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法です。
資金調達と認知度向上を同時に狙える方法でもあり、訪問看護ステーションの開業で活用した事例もあります。

資金調達でよくある失敗

資金調達を進めるうえで、開業を考えている看護師が陥りやすい失敗があります。 よくある3つの失敗のパターンをあらかじめ知っておくと、同じ失敗は防ぎやすくなります。

失敗1.自己資金不足のまま融資申請してしまう

自己資金が少ないと、「事業への本気度が低い」と判断されやすく、審査で不利になります。
「まず融資を受けてから自己資金を足せばいい」と考える方もいますが、自己資金なしでは融資を受けること自体が難しいのが現実です。
開業を意識し始めたタイミングから、計画的に貯め始めておくことが大切です。

失敗2.見積もりの甘さから融資審査が通らない

訪問看護の報酬には、約2ヶ月の入金タイムラグがあります。4月に提供したサービスの報酬が入金されるのは6月末です。
このしくみを資金計画に織り込めていないと、「資金繰りの見通しが甘い」と判断され、融資審査が通らないケースがあります。
また見積もりが甘いと、審査を通過できたとしても、開業後に運転資金が底をつくリスクも生じます。収益が安定するまでの6ヶ月分(金額にすると600〜1,000万円程度)の確保が必要です。このように、入金タイムラグを前提とした資金計画を立てておきましょう。

失敗3.助成金・補助金を当てにしてしまう

もう一つ注意しておきたいのが、助成金・補助金の扱いです。助成金・補助金は後払いが基本のため、開業直後の資金繰りには使えません。
助成金を当てにして資金計画を立ててしまうと、思わぬ資金不足につながる恐れもあります。あくまで「プラスアルファ」として考えておきましょう。

資金調達を始めるタイミング

資金調達を始めるタイミング

資金調達は、思い立ったときに始めるのでは遅い場合があります。開業の時期から逆算して、計画的に動き始めましょう。目安となるスケジュールは以下のとおりです。

開業を意識し始めたらすぐ:自己資金を準備する

融資審査では、300〜500万円程度の自己資金があると有利になります。ただし、融資だけでは資金が足りなくなるケースもあるため、できれば1,000万円程度を目標に準備しておくと安心です。開業を意識し始めたら、まず貯蓄から始めましょう。

開業6ヶ月前:日本政策金融公庫に相談する

自己資金の目途が立ってきたら、日本政策金融公庫の窓口に相談しましょう。
窓口への相談は無料で、「いくら借りられるか」「どんな書類が必要か」といった基本的な疑問から相談できます。
事業計画書のたたき台・資金計画・開業時期の見通しを持参すると、話がスムーズに進みやすくなるでしょう。「まだ準備中だから」とためらわず、早めに足を運んでみてください。

開業3ヶ月前:融資申請・審査

相談の内容が固まってきたら、いよいよ融資申請のステップです。
申請から実行までは、1〜2ヶ月かかります。「開業直前に申請すればいい」と後回しにしてしまうと、資金が間に合わなくなるリスクがあります。 このタイミングで動き出せるよう、逆算して準備を進めておきましょう。

また、日本政策金融公庫の融資だけでは必要な資金額に達しない場合もありますので、地方銀行や信用金庫への相談も同時並行で進めましょう。

まとめ:資金調達は、融資先を知って早めに動き始めよう!

金調達は、知識と準備が整っているほど、スムーズに進められます。融資先の特徴を理解し、開業の時期から逆算して動き始めると、資金面での不安を減らせます。

融資先の窓口相談は無料のところも多く、開業実績がなくても丁寧に対応してもらえます。「融資なんて自分にできるのかな」とためらわず、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか。

まずは情報収集から始め、自己資金を貯え、融資相談・申請をする——
このステップで、開業準備を整えていきましょう。

監修:小瀬 文彰(看護師・保健師・経営学修士)
株式会社UPDATE代表取締役
小瀬文彰さん
2013年慶應義塾大学看護医療学部卒。
ケアプロ訪問看護ステーション東京にて、新卒訪問看護師としてキャリアをスタート。訪問看護の現場・マネジメント経験の後、薬局・訪問看護を運営するスタートアップ企業にて最高執行責任者として40拠点・年商65億規模の経営に携わり、上場企業へのグループインを実現。
 
現在は株式会社UPDATEの代表として、訪問看護のマネジメントコーチ(経営・組織づくり支援)や組織マネジメント講座を通し、「想いある医療者に、マネジメントの力を」届ける事業を展開中。
そのほか、業界団体の研修会登壇や調査研究支援(シンクタンク事業)も実施中。
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